「ライブで食っていこうって言ったってムリなんです」 « クーリエ・ジャポンの現場から
http://courrier.jp/blog/?p=3122日本にはライブハウスがいっぱいあるけど、小さいところはだいたい「ノルマ制」。出演バンドにチケットをあらかじめ一定枚数買い取らせることで、ライブハウスが損をしない仕組みになっている。
これだけ不況とか言っているけど、20〜30年前に比べて、都内のライブハウスの数は倍くらいに増えているんです。場所を提供する側がつぶれにくいという構造があり、そのツケをアーティスト側が払わされてきた。
音楽を街で演奏するってのは、その時点でチャレンジなんです。一所懸命に練習を続けて、来てくれそうなひとに声をかけて、演奏する場所の方々と打ち合わせて、それ全部、たくさんのひとの時間とエネルギーを割いてる。場所も使ってる。当たり前です。そしてチャレンジには、必ずリスクがある。新しいバンドが奏でる音は、それまでにないエキサイティングを生み出すと確信するからこそ、僕らは活動を続ける。でもね、それがお客さんに共感してもらえるとは、いつも限らないわけですよ。お盆で暑いのに、わざわざ足を運んでくれるか、本当にわからない。事前に費やしてきた沢山の時間とエネルギーを、お客さんがすべて負担してくれるかどうかは、やってみないとわからないわけですよ。そんなの僕ら皆知ってる。
そのリスクを、万一うまくいかなかったとき、じゃあ誰が最後にケツ拭きましょうかって話になれば、極端にはふたつある。ひとつは最も原始的に、全部バンドが持つこと。貸切を想定してもらってもいいです。場所やら機材やらを自分の財布で用意するとき、お客さんが呼べなければ、最後に費用のリスクを被るのは自分達です。当たり前。もうひとつは、全部ライブハウスが持つこと。お前らスゲエよ。絶対に未来あるよ。だからさ、今は他のこと考えないで音楽だけつくってろ。金?心配しないで、とりあえず俺に任せとけ。そんな大きな経営者が、確かにいたことあります。今だって、どこかにはいるのかもしれない。要するに出世払いだ。
でもね、よく考えてみるとわかると思うんですが、出世して払いにくるケースなんて、実際にはほとんどないわけです。ベンチャー何チャラより厳しいですよ。だってさ、ものすごい数の僕らが皆、毎日真剣に音楽をやってるんだもの。最高の連中なんて、もう馬鹿みたいに沢山いるんですよ。21世紀はさ、凄い時代だぜ。才能に溢れて、かつ努力を惜しまない、そういう本物の音楽家が、次から次へと毎日わんさか生まれてくる。全員が全員にとって、音楽家であるような時代なんだ。歴史上のどの時代よりも、ぶっちぎりに最高なんだ。さっきの大きな経営者だって、そんなことよくわかってる。ただ単にさ、惚れてるんだよ。だから奢りたいの。自分も金ないのに。投資とか、そんな気持ちじゃないんだよ。
話が脱線しかけてるけど、その両極端の間にある、来月のライブにお客さんが沢山きてくれるかどうかわからないリスクを、バンドとライブハウスとで半分くらいずつ持とうよってのが、「ノルマ制」の機能なわけですよ。いやもちろん、時にはそれが7:3になったり4:6になったり、そのへんは交渉と説得力次第だと思うけど、だから例えば、集客が確実に見込めるときには、それは両者にとってリスクじゃなくなるわけです。バンドにしてみりゃ「20人?屁でもねえよ」ってな話だし、ライブハウスにしたって「(人気のある)皆さんならノルマなんて要りませんよ」って話なわけ。そう。そこ。要は集客なの。愛してくれるお客さんが沢山いるのか。呑んべのお客さんが沢山いるのか。
ライブハウスが儲け過ぎてる?そんなわけないでしょっての。たしかに、ここ数年で、もの凄い勢いで数は増えましたよ。でもね、今ここを読んでいただいている方々なら、よくご存知と思いますが、その一方で、もの凄い勢いで老舗が減ったわけです。いまだってね、経営を引き継いでくれる方を探しているところ、沢山あると思いますよ。大体さ、お金持ちがライブハウス経営してる話だったら、いくらでも聞いたことあるけど、ライブハウスを経営してお金持ちになった話なんて、聞いたことある?
だからさ、やってみようぜ。もしライブハウスが儲かると思うのなら、自信があるのなら。俺が誰より音楽を愛して、東京のシーンをもっともっと元気にできる。そんなふうに自分を信じるチャレンジャーのことが、オキシスタジオは大好きです。現状に満足して、ぶっ弛んでるライブハウス事業や練習スタジオ事業に、俺が殴りこみをかけてやるって元気のいい若い方々がいらっしゃるなら、弊社は全力で応援します。ただね、もちろん気をつけて下さい。いま必死で、毎日東京の音楽シーンを支えている方々も、もの凄く強いですよ。理由なんて簡単で、そこに愛があるから。生半可な気持ちで飛び込んだって、勝ち目はとても小さい。少なくとも、それに負けない大きな愛が要りますよ。
それでいいんだと思う。それって最高なんだと思うんです。皆、好きで好きで仕方ないから音楽して、そうやって音楽してる連中を応援して、観に来てくれるお客さんに楽しんでもらって、また明日から練習する。長いこと生きてる時間の中で、そうやって過ごすときってのは、最高の気分だって皆知ってるから、この駄文を最後まで読んでいただいてるわけですから。弊社もね、頑張ります。皆さんが気持ちよく練習できるように。もちろん、USTREAM中継には未来を感じてます。無線LANや小道具が必要な方、ご相談下さい。できること、頑張りたいと思ってます。
posted by oxistudio at 2010-08-19 15:12
東京

|

|
Comment(0) |
TrackBack(0) |
日記